2017年6月定例会 意見書趣旨説明
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議員提出議案第3号国政・地方選挙における供託金制度の見直しを求める意見書について、提出者を代表して趣旨弁明を申し上げます。 私たちが暮らす日本においては、国政選挙に立候補する場合、選挙区で300万円、比例区で600万円という多額の供託金の納付をしなければならないことが公職選挙法第92条で定められ、同法第93条により、一定の得票数──没収点に達しなければ、供託金が没収される制度となっており、特に、国政選挙の場合は、没収点が非常に高くなっています。 このような供託金制度は、自由な選挙を保障した憲法第15条や、国会の議員や選挙人の資格を財産または収入によって差別してはならないと定めた、第44条などの理念に反するものであり、これらの制度は憲法違反の疑いが濃厚です。 供託金制度の目的は、泡沫候補者を防ぐことや、売名候補者を排除することにあるとされています。しかし、候補者の資産状況で立候補を排除すべきではありません。 一方、供託金が立候補のハードルとならないような資産状況を有した人が、売名のために立候補する場合には、それを排除できず、このような制度は無意味となります。 結局のところ、泡沫候補者かどうか、議員としてふさわしいかどうかは、候補者の主張や政策に基づき、有権者が判断することこそが選挙の本質です。 諸外国の例を見ると、アメリカ・ドイツ・フランス・イタリア・ロシアには、そもそも供託金制度が存在しません。また、供託金制度が存在する国であっても、イギリスやカナダでは10万円程度です。しかし、これらの国々で、日本のような高額な供託金制度の創設をしようとしている国はありません。 また、隣国である韓国では、2001年、憲法裁判所が2,000万ウォン──日本円で約200万円もの選挙供託金は余りにも高額で、憲法違反だと判断しています。 日本の300万円や600万円という金額は、世界的に見て異例の高さであり、民主主義の進歩に逆行する制度だと言わざるを得ないのです。 スイスやスウェーデンでは、一定数の署名を提出することが、立候補の条件となっています。財産でハードルを設ける供託金制度ではなくても、よりお金がかからない方法によって、供託金制度と同様の目的を達成することも可能なのです。 2009年、衆議院で供託金を3分の2に削減する法案が可決されました。改正案の内容は、衆院選・参院選の供託金を3分の2に減額し、選挙区の供託金没収点を半分に引き下げるもので、2009年7月9日に、自民・公明・共産・社民各党などの賛成多数で衆議院を通過しました。参議院では、通過のめどが立たないまま、7月21日の衆議院解散に伴い廃案となっていますが、供託金の引き下げが一時的にではあれ、衆議院での多数意思となったのです。 また、供託金については、自民党も2016参院選政策BANKの中で、「選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえ、被選挙権年齢の引下げについて検討します。また、若い世代の政治参加の環境を整え、政治に挑戦しやすいよう、選挙における供託金のあり方や、インターネット活用の可能性等についても検討を進めます」と明記しています。 意見書案でも触れていますが、若い人々の政治参加を拡大・保障することを大きな目的の一つにして、選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられました。その趣旨からも、立候補する権利も幅広く認められ、障壁は可能な限り下げられるべきです。 地方選においても同じく、供託金が立候補しようとする人のハードルになっているのは、私たち自身、身をもって痛感するところです。 このようなことから、国政・地方選挙における供託金制度の見直しを求めるべきと考え、意見書を提出します。 皆様の御賛同をお願いいたします。