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議事録

2019年12月定例会 討論(決算)

市民派改革ネットを代表し、認定第1号平成30年度高松市一般会計・特別会計歳入歳出決算について反対討論を行います。  

初めに、社会保障・税番号制度推進事業についてです。  2015年から個人番号であるマイナンバーが通知され、2016年からマイナンバーの利用事務で番号の提供が求められるようになりました。国は、この制度で国民の利便性が向上し、行政事務が効率化し、行政コスト削減につながると宣伝してきました。しかし、実際は、市民は行政や勤務先にマイナンバーの提出が必要になり、事業者にとってもマイナンバーの収集や管理のため、費用と責任がふえました。むしろ、本人確認の手間や番号管理の負担により、事務が非効率になっています。  決算では、マイナンバーカード交付枚数は、目標30万枚に対して実績は5万2,830枚、コンビニにおける証明書発行枚数は、目標4万3,000通に対して実績は1万3,194通と相変わらずの低調ぶりです。さらに、本市は、2018年度から普及しないマイナンバーカード利活用策の一つとして、新たに高松市ポイントを開始しました。総務省がマイキープラットフォーム構想に基づき構築した情報基盤を活用し、クレジットカード会社のポイントや航空会社のマイレージを高松市ポイントに移行し、丸亀町商店街や、めぐりん加盟店で利用できるようにすることで、本市経済の活性化にもなるとされていました。しかし、高松市ポイントを取得した利用者は、わずか10人程度で、10万円にも満たない利用では、地域経済の活性化にはほど遠いです。これらは、主要施策の成果等説明書においても総合評価がDであり、本来であれば、相当な見直しがされなければいけない事業です。  番号法の第1条の目的では、行政の効率化を目的としています。しかし、自治体にとって、果たして本当に行政が効率化したのでしょうか。情報連携のための新たなシステムの構築や運用、個人情報保護のための措置などの負担だけではなく、当初の財政措置から大きく後退し、自治体に多額の費用負担が生じています。これは、多くの自治体からも指摘されていますが、それは住民の負担が大きくなることでもあり、利便性とあわせて費用対効果の検証が必要です。  さらに、国では先日、国家公務員らによるマイナンバーカードの一斉取得を進めるため、取得の有無や申請しない家族も含めて、その理由を尋ねる調査を行っていることが明らかになりました。別人格である家族分の理由提出を求めることは、思想・良心の自由に対する不当な侵害であり、許容できるものではありません。  また、国税局は2018年12月、源泉徴収票などデータ入力業務の委託先であるシステムズ・デザイン株式会社が、本来の契約に違反して別の業者に再委託したことにより、マイナンバーを含む個人情報約70万件が流出したと明らかにしました。マイナンバーの無断委託は禁止されているにもかかわらず、国内の3業者に再委託していました。個人情報を公の機関が扱うということの重大さを全く理解していないとしか言えません。  今後、カードの利用できる範囲や、ひもづけされるサービスだけが急速に広がり、システム改修を繰り返す中で、再び個人情報漏えいの危険性もあります。このように、多額の費用負担や危険性を上回る利便性はないと言えます。  

次に、南部地域スポーツ施設、現在の、りんくうスポーツ公園についてです。  りんくうスポーツ公園は、2013年5月に、学識経験者や地域・スポーツ関係者等で構成される高松市南部地域スポーツ施設(仮称)整備基本構想検討懇談会が立ち上げられ、昨年8月に開園しました。前年度からの繰越事業であった倉庫等の建設工事、機械設備工事、園内道路等整備工事、舗装工事などに対する8,143万9,000円の決算額です。  2014年に示された整備基本構想では、ウオーキングコース・ジョギングコース、クロスカントリー走路の整備、水辺の空間としての子供の遊び場、眺望施設、シャワー室の設置が構想として描かれていましたが、総事業費約6億円を投入して完成したのは、これらの施設や設備のないものでした。昨年度開園から3月末までの利用者は2万8,844人。市が2013年に算出した年間6万5,000人という施設利用者は、国土交通省による都市公園利用実態調査報告書の全国平均データを利用して、理論上の利用者数の見込みを算出したものであると断言していましたが、やはり、この推計値には届かないのが現状です。当初計画の低コストで質の高い、市内スポーツ施設のモデル的な施設とは、かけ離れた施設であり、合併時の約束であることを理由に、多額の税金が使われたことをしっかりと市民に説明すべきです。  

次に、屋島活性化推進事業についてです。  屋島山上拠点施設整備事業費は、基本構想では約6億円とされていたものが、入札不調を繰り返したことやオリンピック・パラリンピックによる資材高騰などの影響もあり、現在、倍以上の約13億円にまで膨れ上がっています。屋島への一極集中とも言える税金の使い方は、余りに市民感覚とのずれがあります。これまで3度の入札不調となっており、年明けに4度目の入札を行い、再び不調に終われば、事業自体の見直しも迫られることになることから、そもそもシビックプライドの醸成のための、この施設の必要性があったのかという根本の部分の議論が必要です。屋島に関しては、今ある豊かな自然を資源とした観光地化を進めるべきであり、山上拠点施設整備事業費については容認できません。  

次に、椛川ダム建設事業についてです。  香川県が実施主体の椛川ダム建設ですが、本市も毎年、地元負担金を支出しています。人口減少や節水意識の高まりなどによる水需要供給予測に多くの問題を抱えている椛川ダムですが、さらに、30年以内に70%の確率で起こるとされている南海トラフ巨大地震に対して、ダムに迫るリスクをあわせて考えると、どうしても多額の費用をかけて建設する必要はありません。  平成30年7月豪雨では、満水に達する前に流入量と同量を放出する緊急放流が6府県、8カ所で行われ、愛媛県の2カ所では下流で約3,000棟が浸水し8人が亡くなりました。ことしの台風19号による記録的な大雨では、関東甲信越と東北地方にある計6カ所のダムで緊急放流に踏み切りました。下流で大規模水害が起きる可能性があり、管理者は洪水調節機能を放棄することになる苦渋の判断を迫られました。これらのダムでは、平成30年7月豪雨の教訓として提言された事前放流を行っておらず、運用をめぐる課題も浮かび上がっています。気候変動によって、雨の降り方や降水量が大きく変化をしてきている今、椛川ダムだけではなく、根本的なダムのあり方そのものを見直すべきです。  

次に、議会費についてです。  まず、費用弁償について、2017年度から1日3,000円にまで引き下げられたものの、金額の根拠はなく、全国的に見ても多くの議会で廃止や実費支給となっています。公用車使用時にも支給されていることも説明責任が果たせていません。議員提出議案の条例改正案は否決されましたが、費用弁償については廃止すべきで、決算についても認定できません。  次に、人間ドック助成費については、法的根拠とならない内規で定めて支出しており、国保での助成に、さらに上乗せして助成が出るというのは、明らかな議員特権であり、社会通念に反していることから、決算についても反対です。  

次に、新県立体育館建設環境整備事業についてです。  2023年度の開設に向けて香川県が整備に取り組んでいる新県立体育館。建設予定地の一部が市道であることから、地下埋設物移設・撤去を本市が行うもので、決算額は実施設計業務委託の247万8,000円で、繰越明許費繰越額は4,666万6,000円です。私たちの会派では、そもそも県が建設しようとしている施設について、本市が土地やその他埋設物等を無償提供、貸与、工事費等の負担をする合理的理由はなく、県が負担すべきものと考えます。  

最後に、競輪事業特別会計についてです。  これまでの繰り返しになりますが、日本の法律では、賭博と富くじは刑法第185条・186条及び187条によって違法とされています。ただし、特別な事情があるとして、競輪は自転車競技法を根拠として違法性が阻却されています。  私たちは、自治体が賭博行為を市民に提供し、その消費をあおることが、果たして正当化されてよいのかということを一貫して訴えてきました。依存症のセミナーや相談窓口を設置していながら、一方では賭博行為を推進している、この構造には非常に大きな矛盾があると言わざるを得ません。また、競輪において、自転車の輸出振興やそのための財政支援等の目的は50年前ならともかく、現代社会においては、競輪事業を続けていくための建前でしかありません。当面の間として設けられた制度が、国や地方公共団体にとって財源の一つとなってしまったために現在に至っているのが現実です。  公営賭博は制度創設後、既に半世紀以上を経ています。当初の目的や、ここまでギャンブル依存症者の数がふえていることを踏まえれば、競輪事業をこのまま継続していくことが正しいとは考えられず、競輪事業特別会計の決算認定には反対します。  今年度から決算審査は分科会方式が取り入れられました。これから自治体を取り巻く環境は大きく変化していきます。人口減少、少子・高齢化、公共施設・インフラの老朽化、債務の増大など、政策課題に対しては全て現状をよく把握して、過去の政策を振り返ることが求められます。今年度の決算審査特別委員会の反省や課題の洗い出しを行い、決算審査の活性化につなげていくべきであることを最後に申し添え、認定第1号平成30年度高松市一般会計・特別会計歳入歳出決算についての反対討論を終わります。


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